三好“3吉”功郎(G)、坂井紅介(B)、ヤヒロトモヒロ(Per)、佐山コウタ(P)。
三好のプロフィール→http://sankichi.fun/archives/15403979.html
ギタリストとして他のミュージシャンのバンドに多く参加しており、フルオリジナルアルバム『my little songbook』は2020年に17年ぶりに発売された。ミュージシャンの生業もいろいろである。
Toots Thielemansに捧げた曲がたまたま2ndセットに2曲演奏された。最近別のところでもToots Thielemansの音楽を聴いた。Thielemansはブルースハープではなくクロマチック・ハーモニカを用いており、非常に演奏が難しいものだというが、一般の聴衆にもミュージシャンにも愛されて多数の参加作品を残した。
参考:RIP トゥーツ・シールマンス – JazzTokyo
Thielemansに捧げた曲のひとつ”smile and tears”他で三好が披露した口笛とギターのひとりユニゾンもThielemansの得意技であったという。敬愛の念がうかがえる。
メンバーのうちベースとパーカッションはアルバム参加メンバーで、ピアノは今回、佐山コウタが参加。佐山雅弘のご子息だそうである。いろいろな世界があるなあと思った。
演奏された楽曲は、ドミナントモーション基調のなめらかな進行に対してちょっとひねりを加えたような楽曲が多く、ギターがテーマを奏でてソロをピアノとギターが受け持ち、曲によってベースソロが入ったりパーカッションソロが入ったりする。4曲目の”smile and tears”の軽快なソフトボッサから5曲目は一転してアップなラテンリズムで、メジャーで始まって途中で転調し、三好がディストーションサウンドの効いたサンタナ風のマイナーブルースを弾き、各メンバーも熱の入ったソロを聴かせる。
明示的にマイナーコードを使うわけでもなく、一聴スムースな進行のなかで、表の明るさの裏にふと「哀愁」のような感覚がにじむような、というところが作曲の意図であるらしい。狙いはわかる気がする。
サイドマンタイプのテクニシャン、というと類型化がすぎるかもしれないが、その気になればいくらでも弾けるところをあくまでもバンドのメンバーとして全体を見る視点で、出るべきところをしっかり見極めているという姿勢には学ぶところが多い。