鈴木直人1st album「Resonance and Emission」Quartet

投稿者: | 2022年9月26日

鈴木直人(G)、熊谷ヤスマサ(P)、川村 竜(B)、岩瀬立飛(Ds)。

ギタリストの鈴木も当然上手いのだけれど、ベースが気になった。自身のリーダーバンドがあり、ドラムの岩瀬立飛には「高校時代から師事」[*1] している。ドラムの岩瀬が67年生まれで、他の三人は80年前後の生まれ。このへんの、40代前半くらいの世代から、一気にウェブでのアピールの仕方に今っぽさが出てくる。

今日の演奏では、例えば2曲目の川村作曲の曲などで顕著だが、ベースは基本的にはルートを丁寧に押さえながらオブリガートでさっと煽る感じで、五弦ベースを活かしたチョッパープレイなども効果的。そのベースのルートの上にピアノが和声を乗せ、そのオンコードでの和声に、基本的にはシンプルに、ときにモーダルに絡むのが鈴木のギターである。

コードが進行していくのに合わせてルート中心のスムースなラインを押さえる基本に加えて、ときに反復的なフレーズでコード進行に対して滞留し、効果的にバンドのサウンドとテンションをコントロールするなど、作曲・編曲の観点からのプレイが際立った。

10拍子、7拍子などの変拍子も、アクセントというよりも、そのリズムの上にいかに旋律を載せるかという観点で余裕を持ってプレイされている感じ。特にギターは弾こうと思えば速弾きでもなんでもできるところを、余裕を持ってシンプルなラインに徹している。技術的に余裕があることによって、その都度のフレーズの構築に気を使えるので、ことさらモード感を強調せずともスムースな旋律が展開されていた。

アンコールはスタンダードをリハモナイズしてアレンジした楽曲。オリジナル曲にも通じることだが、シンプルなテーマを軸にしながらそれを活かしつつ深みを出すような和声の付け方、ベースラインとの絡みを考えていて、作曲・編曲という意識とステージでの即興の感覚のせめぎあいが大変面白く、また、それは技術的に卓越しているからこそ成り立つ話でもあるのだなと思った。

 

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