安ヵ川大樹 ニュートリオ

投稿者: | 2022年9月19日

安ヵ川大樹(B)、市川 空(P)、塚田陽太(Ds)、ゲスト:佐瀬悠輔(Tp)。

■参考:安ヵ川大樹 ジャズ ミュージシャン インタービュー
https://www.jazz.co.jp/musicians/yasukagawa_daiki_interview.html

■参考:JazzToday – 安ヵ川大樹ニュートリオ LIVE – JJazz.Net MUSIC PROGRAMS
https://www.jjazz.net/programs/jazztoday/yasukagawadaiki-newtrio-live.php

ベテラン・ベーシストの安ヵ川大樹が20代の市川、塚田をメンバーに迎えたニュートリオ。音感がタイトで間隔の広いフレージングやハーモニクスの使い方など安定感のある安ヵ川と、若手二人の瑞々しさ、ゲストの佐瀬のトランペットがうまく合わさった、オリジナル曲による2ndセット。

作曲と編曲、即興についてなど、最近考えていて、絶対的な正解のブレンドがあるわけではなく、バンドごと、奏者ごとにその都度バランスを考えていくという点がジャズライブを観る面白さにもなる。今日のバンドは比較的、作曲の方に重心がある。楽曲をしっかり構成して、テーマと和声を作り込む。その際、例えば三曲目は「ジョージ・ムラーツに捧げた曲」、四曲目は「デューク・エリントンに捧げた曲」と、リスペクトする先人を自作曲にイメージとして落とし込んだりもしている。

ちなみにクラシックに学んだピッチ、音感の確かさと、アルコの多用という安ヵ川のスタイルは、Wikipedia記載のジョージ・ムラーツの特徴と重なる。

楽曲としての構造を作り込めばそれだけソロを取るのが難しくなるので、即興性を重視したければ楽曲構造はできるだけシンプルにする方がよいということがあるが、そこもバンドとして表現したいこととの兼ね合いで決まってくる。

バンドサウンドとしてどう表現するかということも重要である。例えば四曲目のデューク・エリントンに捧げた曲はピアノソロから始まるが、ピアノだけの演奏が「エリントンっぽい」感じが強くするところに、ベースとドラムが入ってくるとリズムがラテン調で、一気にオリジナル曲の雰囲気になる。エリントンをそのまま演っても仕方ないだろうという批評精神かと思う。バンドサウンドならではである。

楽曲として細かく複雑にしていく、ということ自体が目的ではなく、目の細かいパートのあとにはベースが滞留するようなパートが来て、両者の対比でドラマが生まれたりもするなど、全体的に作曲・編曲の面がよく考えられていたと感じた。

面白いなと思ったのは二曲目で、四つのコード(①-②-③-④とする)をぐるぐる回し、④のところで決めフレーズが入るという楽曲。シンプルではあるが面白い構成だと思った。

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