ライブ評(特に配信で観ただけのもの)は控えようと思っているのだが、ちょっと曲の構成のアイディアで面白いのがあったので、メモがてら書いておく。
Tomonao Hara Group @ Pit Inn Net Jazz:原朋直 Tp、鈴木央紹 Ts、宮川純 P、朝田拓馬 G、池尻洋史 B、デニス・フレーゼ Ds。
2ndセットの3曲目「ブラック・ドラゴン」という曲は、4小節でコード進行が循環するのだが、その拍が 6-6-6-4 と 5-5-6-6 で切り替わる。実際、 6+6+6+4 = 5+5+6+6 なので4小節の総拍数は変わらないのだが、ドラムの強拍の位置や、ベースが堅実に抑えるコード進行の基本的なルートのラインを追っていくと、明らかに 6-6-6-4 と 5-5-6-6 が切り替わるところがある。
この変拍子で何が面白いかというと、ホーンやピアノのフレージングがコーダルだとむしろ切り替わりのところに合わせるのがめんどくさいので、自ずとモーダルというか、スケール重視の息の長いフレージングが生じ、それが生きてくるというところである。プレイヤーは皆非常に上手いので、コードを一つ一つ追いかけるようなプレイはなく、コーダルなところからさらに分割して幾何学的なフレージングをしたり、あるいは上述のようにスケールを重視した息の長いフレージングからモーダルな方向に近づいたりするのが実に自然である。
作曲のアイディアと思われる曲の構造が逆に演者のプレイに反映してくるようなところが感じられて興味深かったので、メモしておく。楽曲がある意味数学的にカチッとできているのと、原の訥々としたMCの対比も面白かった。以上敬称略。