体調悪い。
大友良英×柳沢英輔 フィールド・レコーディングを巡る対話@京都 外(Zoom)。素晴らしかった。柳沢氏のアプローチと大友氏のこれまでの実践が照応して、音楽を巡る重要な対話となった。”録音”という過程はスタジオ録音の場合「ないことになっている」が、フィールド・レコーディングではその”録音”のプロセスがむき出しになり、「録音そのもの」が対象化される。その結果、音楽と非音楽の間の線引の恣意性が前景化して、そもそも音楽ですらない音へと意識が向かう。また、柳沢氏の録音は「音楽作品」なのかそうではない(「フィールド・レコーディング」なのか)のかという問いに対して、作曲という意識はないとしつつも、ミュージック・コンクレートとは異なるが現場での録音の試行錯誤はあるし、そういう形での「私の意図」はある、という立場が非常に現代的だと感じた。作家の「意図」はマイクの配置や切り出す部分の選択でも表れるし、ポスト・プロダクションも手法によっては取り入れる。そして、加工したから場所性が失われるわけではない。
いわゆるサウンドスケープの考え方が人間を前提としており、他の生物やモノの視点が欠落しているという立場から、切り捨ててきたもの、排除してきたもの、「ノイズ」に視線を向けるという批評性が生まれる。この点でフィールド・レコーディングは即興演奏が作曲された音楽の磁場への抵抗を示すあり方と近接する。そして、そこではすべてをあまねく平等に聴き取る普遍性ではなく、あくまでも「私」の視点が反映されるのであって、したがって「表現」であり得るという立場。繰り返すがこの点が特筆すべきところだと思う。「私」の視点であるからこそスタンダード(~すべき)にはならない。これに対して、大友氏は、私たちは毎回「音楽」の境界を線引しているということからは逃れられず、その線引を常に相対化し、動かし続け、固定化しないという形での抵抗を続けるしかないのだと応答する。
ジャズクラブ配信。REVUE THE FULLDESIGN 2022:坂田 明(Sax,Cl,Vo)、広瀬淳二(Sax)、加藤一平(G)、坂本弘道(Vc)、早川岳晴(B)、西村雄介(B)、藤掛正隆(Ds)。藤掛がコンダクターというかリーダー的立場で微妙に調整しながら、全体としては場を読みつつのインプロヴィゼーション。あえてツインBだったりVcだったりと、ジャズコンボのスタンダードからずらすような楽器構成を取り入れて、そこがキーになってサウンドが独特になる。坂本のVcはかなり突拍子もないことをやっていて、そういうところから他が触発されてバンド全体がぐっと盛り上がったりする。坂田のVoがきちんとサウンドに包まれていたのもこういう演奏の醍醐味と思う。
9末案件着手。なんとなく。
痛風の気配。