#author("2023-12-25T02:25:38+09:00","","") #author("2023-12-27T17:42:15+09:00","","") [[数学]] * 書誌情報 [#d3a174df] 小平邦彦, 『幾何への誘い』, 岩波書店 (岩波現代文庫), 1991/2000 * 読書メモ [#zc78d4f6] ** 2023/12/19 [#s95aea40] はじめに、序章、第Ⅰ章§2途中まで - 「図形の科学」としての幾何学は現代数学の立場から見て厳密でないとして中等教育から除かれた。 -- 「図形の科学」とは「定木とコンパスを使って描いた図形に見られる現象を研究する自然科学」をいう。 - 第Ⅰ章で「図形の科学」としての平面幾何を厳密に展開する。 -- 先日読んだ[[『現代の初等幾何学』]]とほぼ重なる内容である。 - 第Ⅱ章で現代数学の立場から見て厳密な平面幾何を述べ、それが「図形の科学」としての平面幾何とどう違うか等説明する。 - 第Ⅲ章では複素数の平面幾何への応用の初歩について述べる。 ** 2023/12/21 [#r2baf607] 第Ⅰ章§6まで - 帯に「論理の力を知る」とあって、その意味がわかるかんじ。 - 公理を基に定理を証明していく、ということを淡々と続けているのだが、幾何学的な直観が働くことを除けば他の数学書と同じスタイルで、では幾何である特殊性とは、といえばやはり「定木とコンパスを使って描いた図形に見られる現象を研究する自然科学」という点である。面白い。 ** 2023/12/22 [#d78d1712] 第Ⅱ章途中まで - 初等幾何学の構成の最後の節が円論である。曰く、証明問題では比率や面積を用いずに円論で解くのが明解とされたとのことである。 - 第Ⅱ章、ヒルベルトの『幾何学の基礎』が『原論』の流儀の平面幾何とどう違うかの説明。 -- ヒルベルトの『幾何学基礎論』(ちくま学芸文庫)は昔読んだ。部屋のどこかにあると思うので見つけて再読したい。 ** 2023/12/24 [#w98720d7] 第Ⅱ章終りまで - めちゃくちゃソリッドな記述でちょっと感動した。 - 幾何の公理的構成においては直観を排除し論理のみに基づいて論証を進める。 - 無定義語の存在、形式主義→数学基礎論 -- 形式主義は『幾何学の基礎』から始まった。 - したがって幾何学的直観(図)を介さなくても理解できるはずである。 -- しかし、現実的にヒルベルト自身、図示するということを通じて幾何学的直観に訴えかけているのではないか。 -- それを読みながら紙に図を書いたり、あるいは脳裏に図をイメージしたりして、結局幾何学的直観を介して理解しているのではないか。 - 図形の科学という考え方によれば、図を書くのは実験であり、その図形に見られる現象を説明するのが理論である。 ** 2023/12/27 [#kcfe7e7a] 了 - 複素数の平面幾何への応用について