#author("2024-04-10T03:45:25+09:00","","") #author("2024-04-10T03:48:52+09:00","","") [[数学]] * 書誌情報 [#sbe9bdfa] 小平邦彦, 『ボクは算数しか出来なかった』, 岩波書店 (岩波現代文庫), 1987→2002/2024 * 読書メモ [#xf4b3677] 日本経済新聞の連載記事「私の履歴書」を書籍化したもの。 ** 2024/04/08 [#n45e53a4] ~p.57 - 著名な数学者の自叙伝として深読みせずに素直に読むことにする。 -- 特別に専門分野を意識せずに好きに勉強を進めた結果、人の縁で海外で論文が評価され、プリンストンに行った。 -- 引用。「数学の研究は頭で考えるだけであるから、研究の最中には自主的に行動しているような気がするが、あとから振り返ってみると、結局、運命に支配されていたことに気付くのである。」p.vii「はじめに」より。 - 音楽に関する章がある。中学三年からピアノを習ったとのことである。 -- 読譜能力が高かったということや、人の演奏に対する審美的な感覚があったことがうかがえる。 -- これも特に〈数学と音楽〉等の問題とせずに素直に読むことにする。 - 勉強意欲が掻き立てられる。 ** 2024/04/09 [#n4a50820] 了。 - 上野健爾氏による「解説」が丁寧に本書を要約している。 - 全体的に事実関係を平静な筆致で淡々と書いている印象。戦争のことも、そのさなかでの息子の早逝のことも、そういうものとして高ぶらずに書く。 - 音楽について。 - プリンストンに渡ってからの著名数学者との交流やフィールズ賞といった耳目を集める話題の華やかさもあり、中盤以降とても面白かった。 - 教育への提言。これは先日読んだ[[『幾何への誘い』]]と通じる。 - 進化論になぞらえて、現状に適応した学問とは異なる、見かけは不格好なものが、次の時代に進化することを書いている。 - 自身の功績や成果については殆ど語られないので、なぜ小平氏がフィールズ賞はじめ様々な栄誉を受けるのかがわからないところもある。 - 「解説」にも書かれているが、書名はかなりミスリードなものである。